第53回日本人間ドック学会での発表

第53回日本人間ドック学会での発表

第53回日本人間ドック学会での発表

概要

会期 2012年9月1日(土)・2日(日)
場所 東京国際フォーラム 東京都千代田区丸の内3-5-1
主催 公益社団法人 日本人間ドック学会

学会発表の内容(アムスニューオータニクリニック)

動脈硬化進展におけるメタボリックシンドローム症候群の役割
– VFAを用いた検討 –

発表資料を見る(PDF形式 402KB)

動脈硬化進展におけるメタボリックシンドローム症候群の役割- VFAを用いた検討 - 日本人間ドック学会 COI開示

プロジェクトメンバー

メンバー(敬称略) 所属(発表当時)
斉藤 育子(発表者) アムスニューオータニクリニック看護科
寳學 英隆 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
保健管理センター所長
三善 英知 大阪大学大学院医学系研究科教授
井上 清輝 アムスニューオータニクリニック放射線科
野中 義勝 アムスニューオータニクリニック放射線科
山田 眞 アムスニューオータニクリニック院長
葉室 頼卓 医療法人城見会専務理事

研究の背景・目的

メタボリック・シンドローム(METsyn)は、動脈硬化性疾患の進展・発症を予防する上で重要な概念であるとされるが、既知の危険因子の重要性との対比など、その位置づけが不明な点も多い。

今回、腹部CTから計測した内臓脂肪面積(VFA)を用いた検討によりMETsynを定義し、また、他の危険因子などとの比較により、動脈硬化初期発現年代におけるMETsynの役割を明らかにすることを目的とした。

目的

対象・方法

2011年4月~2012年3月に来院した29,668例のうち、頸動脈超音波検査と腹部X線CTによるVFA測定を施行しえた、30-59歳、非服薬の連続1,049例(47.0±7.0歳:平均±SD、男性694例) 。

  • 頸動脈エコー法によるIMT(内・中膜厚)測定
  • 腹部CTによるVFA測定
  • 動脈硬化危険因子の検索
  • メタボリック・シンドローム(METsyn)の評価
頸動脈エコー法によるIMT測定
  • 使用機種は、東芝SSA-660A。7.5MHzのプローブを用い、左右の頸動脈を評価した。
  • 左右の総頸動脈において、mean IMT、max IMTを計測し、mean IMTは左右の平均、max IMTは左右の大きい方を個人の代表値として用いた。
  • 早期動脈硬化研究会の診断基準を参考に、右表の診断基準により「肥厚」の有無を診断した。
内臓脂肪面積の計測
  • CTの機種は、東芝 Asteion super4を用いた。
  • Fat Scan ver.4.0(N2システム株式会社)を用い、臍レベルでのVFAを測定した。
  • また、VFA≧100cm2の例を「VFA100」とし、解析に供した。
対象・方法 対象・方法

動脈硬化危険因子とMETsyn

  • 年齢、性別、身長、体重、血圧値、血糖値、コレステロール値などの臨床パラメータを検索した。

以下の動脈硬化危険因子の合併を診断した。

  • 高血圧: SBP≧140mmHg、DBP≧90mmHg
  • 糖尿病: FBS≧126mg/dl、HbA1c (JDS) ≧6.1%
  • 脂質異常症: LDL≧140mg/dl、HDL<40mg/dl、TG≧150mg/dl
  • 喫煙: current smoker

METsynの検索

  • VFA ≧ 100cm2かつ、以下の2項目以上
  • SBP ≧ 130mmHg、DBP≧85mmHg (MET血圧異常)
  • FBS ≧ 110mg/dl (MET血糖異常)
  • TG ≧ 150mg/dl and/or HDL < 40mg/dl (MET脂質異常)
動脈硬化危険因子とMETsyn

結果

  • 動脈硬化危険因子の合併率は、高血圧9.2%、脂質異常症63.1%、糖尿病4.6%、喫煙17.3%であった。どれかの危険因子を有している例は71.0%であった。
  • mean IMTは、0.64±0.13(0.3-1.5)、max IMTは、0.74±0.21(0.4-2.8)であった。
  • 明らかなIMT肥厚を全体の3.2%に認めた。
結果

VFA、METsynに関して

  • VFAは、82.0 ± 42.3cm2 (平均±SD)であった。また、VFA100を30.1%に認めた。
  • MET血圧異常を18.7%、 MET脂質異常を27.5% 、MET血糖異常を10.3%に認めた。
  • METsynを80例(7.6%)に認めた。METsyn合併例では非合併例に比し、有意に各種危険因子合併率が高かった。
  • METsyn例では脂質異常を100%合併し、METsyn非合併例でも60.1%と高率に脂質異常を合併した。
VFA、METsynに関して METsynと動脈硬化重症度 IMT肥厚に寄与する因子 各種危険因子の有無とIMT肥厚合併率 VFA100と動脈硬化重症度

結論

  • 高血圧などの確立された危険因子を加味した検討では、METsynは、IMT肥厚を説明する有意で独立した説明因子にはならなかった。
  • 現状のMETsynの定義により、重大な危険因子合併例を包含できなかった可能性がある。特にMET脂質異常にLDL高値例が含まれていないことの影響は大きいと考える。
  • VFA100自体はIMT肥厚の独立した危険因子であった。内臓肥満自体は重要な概念と考えられる。
  • LDL高値例の治療が十分になされていない。確立されている危険因子の管理が最も重要である。
  • METsynの考え方は重要であるが、その定義では拾いきれない例に対する管理に留意せねばならない。
結論

学会発表の内容(アムスランドマーククリニック)

便潜血反応検査の結果と大腸癌のハイリスク群について
– 追跡調査結果からの検証 –

発表資料を見る(PDF形式 401KB)

動脈硬化進展におけるメタボリックシンドローム症候群の役割- VFAを用いた検討 - 医療法人城見会 アムスランドマーククリニック

プロジェクトメンバー

メンバー(敬称略) 所属(発表当時)
齋藤 綾子(発表者) アムスランドマーククリニック医療部
小澤 靖 医療法人城見会理事長
笹川 晃 アムスランドマーククリニック放射線科
石井 由美子 アムスランドマーククリニック検査科
松井 理恵子 アムスランドマーククリニック医療サービス科
立木 成之 アムスランドマーククリニック院長

目的

大腸癌は増加傾向であり、早期発見には便潜血反応検査が有効であるが、精査につなげるアプローチもまた重要であると考える。

今回、人間ドックを受診し、大腸癌と診断がなされた者の過去の結果を比較検討し、大腸癌のハイリスク群の抽出と、検査精度の検証及び精査実施率向上にむけ効果的なアプローチが出来ないかを検討する。

目的

対象・方法

対象

2007年~2011年の5年間に便潜血陽性で精査指示のあった2,865人のうち、追跡調査で大腸癌と確定診断のあった68人。

方法

大腸癌が判明した時点から遡り、過去2回分の便潜血反応検査の結果を抽出、精査実施に至るまでの間の検査結果を比較検討した。

測定装置

  • ALOKA・OCセンサーDIANA・OC-280
  • 栄研化学 OC-ヘモディア・オートⅢ(カットオフ値: 130ng/ml)
対象・方法

内容

受診者数と男女比 【2007~2011】

男女比は54:46

精査指示数と実施数の比較

追跡調査で判った精査実施状況は精査実施率 胃部36.9% 大腸18.4%

検査を受けなかった理由
  • 時間が取れなかった
  • 以前も同じ結果で検査したことがあるが異常がなかった
  • 痔のせいだと思っている
  • 忘れていた/時間が経ってしまった
  • 検査が大変そう/検査が怖い
  • 重要だと思わなかった
大腸癌の男女の割合
  • 男女とも年齢が上がるほど大腸癌の数は増えるが、男性は女性の3倍以上である。
  • 特に50代以上で大きな差がみられる。
  • 受診者数は40代が多いが大腸癌は50代以上が多い。
年代毎の精査指示の男女比
  • 精査指示(便潜血陽性)の60%は男性であり、年齢が上がるほど増加傾向がある。
  • 60代で精査指示がある者の75%は男性である。
年代別精査指示の割合(便潜血反応検査)

女性は各年代でほぼ一定の割合であるが男性は年齢とともに増加傾向が見られる。

陽性回数と陽性指摘年数
  • 全体の約7割が初めて陽性反応が出た時点で精査を受け、大腸癌を指摘されている。
  • 2回法で1回の陽性反応でも大腸癌の指摘がされている。
受診者数と男女比 精査指示数と実施数の比較 検査を受けなかった理由 大腸癌の男女の割合 年代毎の精査指示の男女比 受診者の年齢構成 年代別精査指示の割合 陽性回数と陽性指摘年数

まとめ

  • 便潜血反応検査はスクリーニングとして有効であり、1回でも陽性反応がでた場合は精査を勧める必要がある。しかし、精査の負担が大きいことに加え、他の検査に比べ、受診者の意識付けが弱く、精査実施につながりにくい面があることが分かった。
  • 50歳以上の男性については大腸癌のハイリスク群であり、特に注意が必要である。
  • 精査の実施率を上げ、大腸癌の早期発見につなげるためには、検査結果判明後なるべく早い段階で、ハイリスク群である事を直接説明し、精査の受診勧奨を行うことが大切である。
まとめ 日本人間ドック学会 COI開示

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