放射線が胎児にあたえる影響は被曝を受けた時期と被曝線量により下記の[1]~[4]のように異なり、その影響の出る最低の線量は100~120mSv[ミリシーベルト]であると考えられています。 一回のバリウム検査(上部消化管X線検査)で胎児が受ける被曝線量は1.6~3.0mSv程度です。したがって、[1]~[4]の障害が起こる可能性は非常に低いです。
[1]影響:胎児死亡(流産) 時期:受精~9日 最低被曝線量:100mSv
[2]影響:奇形発生 時期:受精後2週~8週 最低被曝線量:100mSv
[3]影響:発育遅滞 時期:受精後8週~出生 最低被曝線量:100mSv
[4]影響:精神発達障害 時期:受精後2週~15週 最低被曝線量:120mSv
また、医療上の被曝で問題となるのは、小児がんの発生や小児白血病ですが50mSv以下の線量で、がんや白血病が発生したという例は過去にありません。このことからバリウム検査(上部消化管X線検査)で胎児が受けるわずかな線量(1.6~3.0mSv)では、これらの障害もほとんど問題にならないと考えられます。
上部消化管X線検査を受けてしまったからといって中絶を考える必要性はありませんが、胎児への無用な被曝を避けるため妊娠中のX線検査は緊急時を除いて避けてください。