コラム

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2024.12.23

4.その他

冷え性について

Contents目次

監修・執筆

監修:医師 加藤 美貴(アムスランドマーククリニック勤務医)
執筆:保健師 渋谷 聖子(アムスランドマーククリニック健康増進科)

冷え性の主な症状

この時期、朝夕の冷え込みも少しずつ厳しくなってきています。この季節は、多くの方々が冷え性で悩んでいらっしゃるのではないでしょうか。

冷え性とは、血流が悪くなり、血管が収縮して、末端の毛細血管まで温かい血液が届かず、手足などが冷える状態です。血流が悪化すると、酸素や栄養素が行き届きにくくなり、老廃物の排出も滞りやすくなります。
よって、冷え性になると、様々な不調が現れやすくなります。

冷え性は血流が悪化しているサインの一つです。見逃さず、適切な対策を取りましょう。手足の冷え以外には、肩こり、頭痛、便秘、腰痛、関節痛、めまい、ふらつき、倦怠感などの症状がよく見られます。気分の落ち込みといった精神面での症状がみられることもあります。また、体温低下により免疫力への影響もあります。

冷え性の原因

運動不足(筋力の低下)

運動不足により筋肉量が減少すると、基礎代謝や血流も低下し、末梢への血液供給が不足して冷え性を引き起こしやすくなります。特に、足の冷えへの影響が大きいのは、第2の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉です。心臓から最も遠く、届いた血液を心臓まで戻す役割があります。よって、ふくらはぎの筋肉が衰えると、届いた血液が戻りにくく滞り、血流が悪化して足に冷えを起こします。

また、女性は、ホルモンの影響や、男性に比べ筋肉量が少ないため、冷え性を引き起こしやすい傾向にあります。月経による血液量の減少や更年期のホルモンバランスの変化も、冷え性の原因となります。

食生活の乱れ

冷たい食べ物や飲み物を摂りすぎること、野菜不足、インスタント食品の多用、糖質や脂質に偏った食事を続けることは、体内で熱を産生するために必要な栄養素が不足し、冷え性を引き起こします。

不規則な生活

過労やストレス、睡眠不足などの不規則な生活が続くと、体温調節機能のある自律神経に乱れが生じて、冷え性を引き起こします。

喫煙

タバコに含まれるニコチンは、急激に血管収縮を引き起こし、血液循環を悪くするとともに、基礎代謝も低下させ、冷え性を引き起こします。

冷え性のタイプ

冷え性は大きく4つのタイプに分けられます。

タイプ1・四肢末端型(末端手足が冷えるタイプ)

血流が悪くなることで、手足の末端まで血流が行き渡らなくなることが主な原因です。過度なダイエットなどにより栄養が不足すると、身体を温めるエネルギーが不足した状態となり、手足の末端まで血流が行き渡らなくなります。普段あまり汗をかかない方に、このタイプである場合が多い傾向です。10代から20代の痩せ形女性に多いです。

タイプ2・全身型(身体全体が冷える方)

筋肉量の不足や筋力の低下、基礎代謝の低下が主な原因です。倦怠感、下痢、風邪をひきやすいなどの症状も見られます。常に体温が低めで、季節を問わず寒さを感じます。若者や高齢者に多く発症し、自覚症状がない場合も多くみられます。

タイプ3・下半身型(下半身が主に冷えるタイプ)

悪い姿勢、長時間のデスクワーク、運動不足、骨盤の歪みなどが原因となり、下半身の血流不足が主な原因です。30代以降の男女に多いです。

タイプ4・内蔵型(内臓が冷えるタイプ)

自律神経のバランスの乱れにより、血管が正しく収縮せず、血液が十分に行き渡らないことで内臓が冷えることが主な原因です。自律神経の乱れの原因には、ストレス、不規則な生活、過労、運動不足などがあります。30代以降の女性に多いです。

冷え性の予防

まずは、冷え性を予防するために、生活習慣を改善していきましょう。

起床時に白湯を飲みましょう

起床時は1日の中で体温が最も低く、さらに体内の水分も不足している状態です。水分を吸収しやすい起床時に白湯を飲むことで、内側から体温を温めることができます。

首・手首・足首の3つの「首」を温めましょう

この3か所は、太い血管が通っており、温めることで血行が促進され、身体全体が温まるのに役立ちます。マフラーやネックウォーマー、レッグウォーマー、靴下などを利用して保温しましょう。お腹の冷えには、腹巻やスパッツなどを履きましょう。

入浴・半身浴 湯船に浸かる習慣をつけましょう

シャワーではなく湯船に浸かることは、冷え性改善に効果的です。副交感神経が働き、血管が拡張して、血流が良くなります。38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かりましょう。

※高血圧の方は、主治医の指示の元、入浴温度、時間を守りましょう。

良質な睡眠を取りましょう

質の良い睡眠を取ることが大切です。決まった時間に就寝・起床しましょう。冷え性は血流だけでなく、自律神経とも関連しており、ストレスをためると神経のバランスが崩れ、冷え性を感じやすくなります。

禁煙に取り組みましょう

喫煙はがんなどの病気リスクを高めるため、冷え性を含めて健康リスクを軽減させるために、禁煙に取り組みましょう。

次回は、冷え性改善のための食事や運動について詳しくお伝えします。